離婚の手続き

 日本では、3組に1組は離婚する(特殊離婚率での割合)と言われます。そのためか、当事務所の扱う業務でも、離婚の相談や受任がそれなりの割合を占めています。

 そこで今回は、離婚における手順や、それぞれの手順における弁護士の関わり方、そして、よく問題になる点をいくつか取り上げたいと思います。

 まず離婚の種類には、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚の4つがあります。③の審判離婚は件数が少なく、ほとんどは①、②、④によることになります。

 ①協議離婚(キョウギリコン)はよく聞くと思います。夫婦の話合いで離婚を決め、離婚届出書に夫婦ともども署名・押印をして、役所に提出することで離婚となります。夫婦でまともに話し合えるのであれば、これが費用も時間もかからない最も簡便な方法と言えます。協議離婚で弁護士が関わることは多くないですが、「話合いの結果決まった離婚条件でおかしなところがないかを見てもらいたい。」というご相談や、「今後の養育費の支払いを確実に受けたいので、話合いで決まった条件を文書として残したい。文書作成を依頼したい。」というご依頼がそれなりにあります。

 文書作成の場合は、単なる合意書ではなく、公証役場(コウショウヤクバ)で公正証書(コウセイショウショ)を作成することをおすすめしており、公正証書作成の代理をお引き受けすることが通常です。

 夫婦間での話合いがつかない場合は、②調停離婚(チョウテイリコン)を考えることになります。話合いがつかないというのは、話合いをしたいのに相手が応じてくれなかったり、話合いはしたけれども条件面で折り合いがつかなかったなど、色々な場合があります。どういう場合であっても、協議離婚ができないなら、②調停離婚に進むことになります。

 調停離婚は、家庭裁判所に調停を申し立てることで始まる手続きです。決められた調停期日に夫婦がそれぞれ家庭裁判所に出向き、2名の調停委員(男性1名、女性1名)が双方から話を聞いて、離婚するか否かや、離婚する場合の条件について、交通整理をしてくれます。どのくらいの期間がかかるかというと、いまの札幌家庭裁判所の運用を見る限り、申立てをしてから1か月~1か月半後に第1回調停期日が入り、その後も1か月半~2か月に一度ずつ、第2回、第3回・・・と期日が入ることが多いです。1回あたりの調停時間は、その期日で話し合われる内容によって長短がありますが、一から話を聞かなければいけない第1回期日では、2時間はかかります。調停では、控室は夫婦で別々になり、そこから調停委員がいる部屋に交互に出入り(妻が部屋に入っているときは夫は控室、妻が部屋から控室に戻ってから夫が部屋に入る、ということの繰り返しを)するので、相手と顔を合わせることはまずありません。片方30分を双方で1時間、これを2往復すると2時間、というわけです。

 離婚調停は調停委員が交通整理をしてくれるので、弁護士をつけずに自分で進める方も多いです。私の体感では、弁護士をつけている人とつけていない人で半々くらいかなという印象です。ただし、これまでの相談者の中には、調停委員から高圧的に責められたり、あまり自分の話を聞いてくれず、相手の肩を持って自分の方にだけ譲歩をさせようとしてくる、という不満を述べる方もいましたし、私が代理人についた後の調停期日では、前回までと調停委員の態度が変わって良くなったと言う方もいましたので、弁護士をつける利点は少なからず有るといえます。私の場合、ご相談を受けて、この内容なら弁護士をつけなくてもご相談者が不利になることはなさそうだと考えれば、「弁護士をつけてもつけなくてもいいと思います。」とアドバイスしますが、法的に可能な主張があるのにそれを言わずに進めると不利になりそうな事案の場合には、「できれば弁護士をつけた方がよい」とお伝えします。

 ご依頼があった場合には、裁判所への申立て書類を作成して提出するのと、調停期日に一緒に同行して、法的な主張の説明をご本人に代わって行うことになります。また、最近では、弁護士代理人が就いている方は、代理人の弁護士事務所にいながら電話で調停に出席できるようになっています。

 最後に④裁判離婚(サイバンリコン)ですが、これは離婚調停で話がまとまらず「不成立」になった後、それでも離婚をしたい場合に家庭裁判所に提訴することで行う手続きです。調停までは、厳密に「離婚原因」(こういう場合には離婚を認める、という民法770条1項で定める事情のこと)が無くても相手が離婚に応じてくれれば離婚成立となるのですが、裁判ではこの「離婚原因」が有るということが証拠で認定されなければ、離婚が認められず、請求棄却判決(セイキュウキキャクハンケツ)になってしまいます。逆に、「離婚原因」が有ると認められれば、例え相手が離婚を拒否し続けているとしても、離婚を認める請求認容判決(セイキュウニンヨウハンケツ)を得ることができます。この判決が確定すると、この判決書を役所に持っていくことで、離婚届出書の相手方の署名・押印欄が埋まっていなくても、これが埋まっているものとして受理してくれます。

 裁判離婚の場合には、どのような「離婚原因」があるのか、そしてそのことをどのような証拠で立証していくのかなど、法律の専門知識が必要となるので、弁護士をつけることをお勧めします。弁護士に代理人を依頼することで、裁判所類の作成・提出や、裁判期日への出頭を、弁護士が行いますので、ご本人の負担は相当軽減されるはずです。  以上が離婚の手続き別の概要ですが、手続きとは別に、中身の問題も離婚にはつきまといます。養育費の妥当な金額はいくらかとか、財産分与において親から贈与を受けた財産などどこまでを配偶者に分けるべきか、というのは1つ1つ問題になり得ます。その都度法律相談で済ませるよりも、代理人となって一括して相談(打合せ)をする方が合理的な解決を見込めます。離婚問題でお悩みの方は、是非当事務所にご相談ください。

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